韓国語を読んで聞くアプリ「OtoOi Reader」を作りました ― 日本語の解説で、辞書を引かずに読み進める

韓国には、韓国語で韓国語を解説した読み物がたくさんあります。教科書も、学習者向けの本も、文法の説明も、韓国語で書かれたものなら手に入ります。けれど、日本語で解説してくれる韓国語の読み物となると、探してみても多くはありません。

読めない文に出会ったとき、韓国語で書かれた解説を読むには、まずその解説を読む力が要ります。分からないところを分からない言葉で説明されても、手がかりにならない。日本語で解説した読み物が少ないことは、韓国語の学習を難しくしている原因のひとつだと思っています。

毎週の読み物を、読んで聞けるように

OtoOiは、韓国語の読み物を定期的に出しています。今週のニュース、韓国のネット掲示板を舞台にした短いドラマ、KTXで地方の街を巡る旅の話。どれも、文ごとに韓国語の音声(合成音声)が付いています。これを日本語の解説つきで読んで、聞けるようにすれば、リーディングとリスニングを毎日の暮らしの中で鍛えられるアプリになる。そう考えて作ったのが「OtoOi Reader」です。

私自身、韓国語はまだ中級の壁の前にいます(OtoOiを作り始めた話)。このアプリで、自分の韓国語を伸ばしたい。それが、作った理由のいちばん根っこにあります。

2026年10月15日にiPhoneアプリを公開し、10月19日に1.1へ更新しました。ブラウザで開けるWeb版もあります。何ができて、どこまで無料なのかを、順に書いていきます。

すべての語と文法に、日本語の意味

OtoOi Readerでは、本文のすべての語に、その文での日本語の意味を付けています。文に出てくる文法の型にも、日本語の意味と解説があります。分からない語が出てきても、辞書を引きに行かなくていい。押せばその場で意味が出るので、止まらずに読み進められます。音声を聞いていて引っかかった語も、同じように押して確かめられます。

たとえば、9月に出したニュースの回に、こんな一文がありました。

농촌진흥청이 수도권 소비자를 대상으로 조사한 결과, 추석 선물을 온라인으로 사는 비중이 10년 전 9.0%에서 최근 37.4%로 늘었습니다.

語を押すと、辞書形・品詞・この文での意味・漢字が開きます。日本語を話す人にとって、漢字語は単語の見当をつける足場です。농촌진흥청は農村振興庁、소비자は消費者。ただ、足場には落とし穴もあるので、日本語と意味のずれる語には※印を付けて、どうずれるのかを書いています。

この文の 비중 は、漢字で書くと「比重」です。日本語の「比重」は主に重さの比や重要度を指しますが、韓国語のニュースでは「全体に占める割合」の意味でよく使います。ほかにも、アンケートの「回答」は 응답(応答)、インフルエンザは 독감(毒感)と言います。日本語に「毒感」という言葉はありません。

動詞や形容詞は、文の中の形から元の形へたどれます。몰랐어요 なら、모르다 に過去と해요体が付いた形、というように。開くと、変則で語幹が変わるところから、합니다体やタメ口、文をつなぐ形まで、ほかの言い方も見られます。文法の型を押すと、意味と解説に加えて、同じ型がほかの記事のどの文に出てくるかもたどれます。

文の組み立ても、日本語の語順で

語の意味がすべて分かっても、何が何にかかっているのかを追ううちに、文の頭を忘れてしまうことがあります。先ほどの文は、中級で止まりやすい典型だと思います。そこでOtoOi Readerでは、文を意味のまとまりごとに区切り、それぞれの真下に直訳を置きます。

韓国語の区切り 直訳
농촌진흥청이 수도권 소비자를 대상으로 조사한 農村振興庁が首都圏の消費者を対象に調査した
결과, 結果、
추석 선물을 온라인으로 사는 チュソクの贈り物をオンラインで買う
비중이 比重が
10년 전 9.0%에서 10年前の9.0%から
최근 37.4%로 最近37.4%に
늘었습니다. 増えました。

右の列を上から読むと、ほとんどそのまま日本語の文になります。日本語と韓国語は語順がほぼ同じで、名詞にかかる修飾を前に置くところまで同じだからです。語順の違う言語どうしでは、区切りの訳を並べても文にはなりません。この語順の近さは、OtoOiがずっと手がかりにしてきたものです(語順の記事)。直訳の列が「比重が」のままなのは、直訳を韓国語の語に忠実に付けているからで、意味のずれは単語の説明のほうで補っています。

アプリでは区切りが横に流れ、それぞれに「主語」「目的語」「連体修飾」「述語」といった役割の名前が付きます。名前は、中学の国語で習う「文の成分」に合わせました。このアプリだけの独自の名前は作らず、学校で一度は聞いたことのある名前にしています。

OtoOi Readerの画面。左は、文を区切りごとに分け、役割の名前と日本語の直訳を添えた「文の構造」。右は、単語を押して開いた説明で、독감(毒感)に「日本語とのずれ」の注記が付いている

まず、訳なしで読む

文ごとに「わかった」と「訳を見る」のボタンを置いています。まず訳を見ずに読み、分かったら「わかった」、分からなければその文だけ訳を開く、という使い方です。訳を先に見てしまうと、韓国語を読んだのか日本語を読んだのか、自分でも区別がつかなくなるからです。読んで意味をつかんだ文は、そのまま音声で聞き直せます。

語と文法の型には、自分で「覚えた」「覚えかけ」の印を付けられます。覚えた語の割合から、いまの自分に読めそうな記事を勧めます。各回の頭には「TOPIK ○級相当」という難しさの目安も付けました。その級までの単語と文法で、本文のおよそ9割が読める、という目安です。

読み物は4つ

  • ニュース「今週の韓国」:韓国の今週のニュースを、事実をもとに韓国語で書き下ろしたものです。やさしい版とニュースの文体の版があり、いまは日・火・木の朝8:00に新しい回が出ます。日曜の回は、YouTubeの「今週の韓国」と同じ回です。
  • 物語「カイの旅」:YouTubeの物語と同じ会話を、1シーンずつ読めます。
  • となりの韓ドラ:韓国のネット掲示板でよく見る相談や体験談を、コメント欄ごと書き下ろした短いドラマです。ㅋㅋのようなネットの書き言葉もそのまま読めて、最後に作者自身がオチの仕掛けと暮らしの背景を解説します。
  • カイの列車旅:物語のカイがKTXで韓国の地方の街を巡り、その土地の食べ物や暮らしに出会う短い旅の話です。話は書き下ろしで、出てくる事実は「旅のメモ」に出典つきでまとめています。iPhoneでは1.1から読めます。

無料で読めるもの、購読のもの

本文・日本語訳・音声は、アプリではすべての回が無料です。そのうえで、公開から7日間は、文の構造も、単語や文法の説明も、韓ドラの解説も、全部無料で使えます。7日を過ぎた回の構造・説明・解説と、回をまたいで文法を引く「文法索引」は購読(月500円・年4,000円、7日間の無料体験つき)です。物語「カイの旅」は、アプリでは全部無料です。

線をここに引いたのは、新しい回は誰でも全部使えるようにして、読み返したり、同じ文法を回をまたいでたどったりと、積み重ねを使い込む人に払ってもらう形にしたかったからです。購読はiPhoneのアプリから始められます。ブラウザのWeb版では、公開から7日以内の回を読めます。Android版は準備中です。

これから

日本語の解説が、読む人を本文へ戻す助けになっているか。説明を読むこと自体が目的になってしまっていないか。使ってくれる人の様子を見ながら、そして自分でも毎日使いながら、直していきます。

もうひとつ、ずっと考えているのが、「前より読めるようになった」を何で測るかです。読んだ記事の数は、読めば必ず増えます。でも知りたいのは、前に訳を開いた表現を、次の記事では開かずに読めたかどうかのほうです。

辞書と行き来しながら韓国語を読むのに疲れていたら、よかったら今週の回から開いてみてください。


OtoOiは、韓国語を読んで聞くアプリ「OtoOi Reader」を、使う人の声を聞きながら作り続けています。アプリの使い方はOtoOi Readerの使い方にまとめています。新しいお知らせは、このブログとThreads・Xでお届けします。

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