韓国語は、日本語と語順がほぼ同じ — その「語順並走」がリスニングに効く理由

韓国語をある程度学ぶと、多くの人が同じことに気づきます。日本語と、語の並び順がそっくりだ、と。教科書の例文を、単語の順番をほとんど入れ替えずに、そのまま置きかえられてしまう。

この「語順が同じ」という事実は、韓国語学習者にとって身近すぎて、あらためて語られることは多くありません。でも私は、これがリスニングにとって、とりわけ中級の壁を越えるうえで、かなり大きな意味を持つと考えています。今回はその話を書きます。

韓国語と日本語は、語順がほぼ同じ(SOV)

まず事実から。日本語も韓国語も、文を「主語 → 目的語 → 動詞」の順に並べます。言語学では、この並びを SOV型と呼びます。

例えば「私はご飯を食べます」。

  • 日本語:私は / ご飯を / 食べます
  • 韓国語:저는 / 밥을 / 먹어요

並びが、ぴったり対応しています。さらに、日本語の「は」「が」「を」にあたる助詞(韓国語では 조사)まで、ほぼ一対一で置きかえられる。「は=는/은」「を=를/을」というふうに。覚えた単語と助詞を順番どおりに入れていくだけで、文が組み上がってしまう。

「私は・ご飯を・食べます」と韓国語「저는・밥을・먹어요」が主語・目的語・動詞まで一対一で並走することを示すSOV語順の対応図

外国語の学習で、ここまで文の骨組みが近い組み合わせは、実はそれほど多くありません。

英語だと、こうはいかない

比べてみると、ありがたみが分かります。英語は「主語 → 動詞 → 目的語」の SVO型です。

  • 日本語:私は / ご飯を / 食べます
  • 英語:I / eat / rice

「食べます」にあたる eat が、目的語の前に来る。日本語の意味の流れと、英語の音の流れは、途中で順番が入れ替わります。だから日本語を思い浮かべながら英語を重ねても、意味のかたまりと音のかたまりがズレていく。

ところが日韓は、ズレない。意味(日本語)の流れに沿って、音(韓国語)が同じ順番で進んでくれる。私はこれを「語順並走」と呼んでいます。

なぜ「語順がそろう」とリスニングに効くのか

ここが本題です。語順が同じだと、なぜ聞き取りに効くのか。

リスニングがネイティブの速さに追いつくには、音を意味に変える処理が「考えなくても起きる」状態(自動化)が要ります(この話は中級の壁の記事に詳しく書きました)。そして自動化は、音と意味がその場で結びつく経験を重ねるほど進んでいきます。

語順がそろっていると、この結びつきが起こしやすい。日本語で「ご飯を」と意味が立ち上がったすぐあと、韓国語の「밥을」という音が同じ位置で流れてくる。意味のかたまりと音のかたまりが、同じ順番・近いタイミングで届くから、脳が「いまの音は、いまの意味だ」と対応づけやすい。

逆に英語のように順番が入れ替わると、「さっき思い浮かべた意味」と「いま聞こえた音」を、頭のなかで並べ替えてから対応づけることになる。その一手間が、ネイティブの速さの前では間に合わなくなります。

OtoOi が、日本語のすぐあとに少し遅らせて韓国語を重ねるという再生のしかたをとっているのは、この語順並走が成り立つからです。語順がそろっているからこそ、意味の上に音を重ねて聞ける。だからこそ、一本の音をただ流すモノラルではなく、ステレオで聞ける

ただし「日韓だけの裏技」ではない

念のため補足すると、意味と音を重ねて聞くという考え方そのものは、韓国語と日本語の組み合わせだけのものではありません。語学一般に通じる方法です。

ただ、語順が一致しているぶん、日韓ペアはこの方法と特に相性がよく、まず始めやすいはずだと考えています。同じことを英語でやろうとすると、語順の入れ替えという厄介な問題がついて回る。日本語を母語とする人が韓国語をやるときは、そのハードルが最初から低い。せっかく恵まれた条件があるのだから、使わない手はない、というのが私の考えです。

(この語順並走を使った再生のしかたは、思いつきで終わらせたくなくて、ひとつの方法として設計し、特許も出願しました。とはいえ、方法として出願したことと、それがどれくらい効くかは、別の話です。)

最後に、正直なところ

「語順が同じだから、必ず聞き取れるようになる」と言い切るつもりはありません。これはあくまで、効くはずだという見立てです。どこまで本当に効くのかは、これから実際に試しながら、分かった範囲で出していきます。

同じ壁の前にいる人と、この近道が本物かどうかを一緒に確かめられたらうれしいです。


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