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扇風機は、人を殺すのか?

扇風機をつけて寝ると死ぬ、という韓国の怪談を、一次資料で追いつめる探偵型ドキュメンタリー。物語のカギになる文と、 単語・文法・発音のポイントをまとめました。

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🎧 イヤホン推奨(左=日本語/右=韓国語)。

物語のキー文

  1. "선풍기를 켜 놓고 자면, 죽으니까."「扇風機をつけて寝ると、死ぬから」
  2. 오늘은 이 괴담을 시작한 범인을 찾습니다.今日は、この怪談を始めた犯人を探します。
  3. 왜 이 괴담만 100년이나 살아남았을까요?なぜこの怪談だけが、100年も生き残ったのでしょう?
  4. 세계가 믿어 온 범인은, 무죄일지도 모릅니다.世界が信じている犯人は、無実かもしれません。
  5. 범인은, 99년 전의 신문 기사였던 것입니다.犯人は、99年前の新聞記事だったのです。
  6. 괴담이 법원보다 힘이 셌던 것입니다.怪談は、裁判所より力が強かったのです。

ことば

괴담 クェダム

怪談(漢字語=怪談)

クェダム。漢字で書くと、怪談。日本語と同じ漢字語です。この物語の主役のことばで、本編では、100年生き残った怪談、として最初から最後まで出てきます。

범인 ポミン

犯人(漢字語=犯人)

ポミン。漢字で、犯人。探偵ものの必須ワードです。犯人を探します、犯人は意外な場所にいました、と本編で何度も出てくるので、聞き取りのアンカーになります。

미신 ミシン

迷信(漢字語=迷信)

ミシン。漢字で、迷信。縫うミシンではありません。本編では、韓国だけの迷信、ハングンマネ ミシン、という形で出てきます。

신고 シンゴ

届出・通報(漢字語=申告(日本語よりも広い意味))

シンゴ。漢字で書くと申告ですが、意味は、届出や通報。日本語の申告より広く使います。本編では、届出が20件、という大事な数字と一緒に出てきます。

용의자 ヨンイジャ

容疑者(漢字語=容疑者)

ヨンイジャ。漢字で、容疑者。本編の捜査は、3人の容疑者を追いながら進みます。つづりのとおりだと、ヨン、ウィ、ジャ、ですが、実際には、ヨンイジャ、と軽く読まれます。

증거 チュンゴ

証拠(漢字語=証拠)

チュンゴ。漢字で、証拠。最初の証拠です、二つ目の証拠、と、捜査の節目ごとに出てきます。この語が聞こえたら、新しい手がかりの合図です。

살아남다 サラナムタ

生き残る(살다=生きる + 남다=残る)

サラナムタ。サルダ、生きる、と、ナムタ、残る、を合わせて、生き残る。なぜこの怪談だけが生き残ったのか。物語全体を貫く問いの動詞です。

文法(物語の型)

-(으)면〜すると・〜たら(条件)

一つ目は、条件のミョン。動詞について、〜すると、〜したら、という条件を作ります。チャミョン、寝ると。扇風機をつけて寝ると、死ぬから。怪談の核心の一文が、この型から始まります。

"선풍기를 켜 놓고 자면, 죽으니까." 「扇風機をつけて寝ると、死ぬから」

-(이)나〜も(数量の強調)

二つ目は、イナ。数字のあとについて、〜も、と驚きを込める助詞です。100年も生き残った。ペンニョニナ、と数字が強調されて聞こえたら、話し手の驚きのサインです。

왜 이 괴담만 100년이나 살아남았을까요? なぜこの怪談だけが、100年も生き残ったのでしょう?

-(으)ㄹ지도 모릅니다〜かもしれません(推測)

三つ目は、ルチド モルムニダ。〜かもしれません、という推測の型です。世界が信じている犯人は、無実かもしれない。どんでん返しの直前に出てくる、ミステリーの定番です。

세계가 믿어 온 범인은, 무죄일지도 모릅니다. 世界が信じている犯人は、無実かもしれません。

-던 것입니다〜だったのです(種明かし)

四つ目は、トン ゴシムニダ。〜だったのです、と、いま分かったことを明かす言い方です。犯人は、99年前の新聞記事だったのです。真相を明かす文と、そのあとの締めの文が、どちらもこの形になっています。

범인은, 99년 전의 신문 기사였던 것입니다. 犯人は、99年前の新聞記事だったのです。

発音(音の変化)

살아남았을까요 → [사라나마쓸까요] サラナマッスルカヨ

生き残ったのでしょうか、の、サラナマッスルカヨ。文字のとおりだと、サル、ア、ナム、アッ、と切れそうですが、パッチムが次の音に順番につながって、サラナマッスルカヨ、とひと息に流れます。連音のオンパレードです。

수밖에 → [수바께] スバッケ

〜しかない、の、スバッケ。パッチムのクが後ろとぶつかって、バッケ、と濃い音に変わります。本編では、我々には推測するしかない、という決め台詞、チュチュカル スバッケ オプタ、で出てきます。

옛날 → [옌날] イェンナル

昔、の、イェンナル。文字のとおりだと、イェッ、ナル、と読めそうですが、パッチムのッが、後ろのナ行の音と出会って、イェンナル、と鼻に抜ける音に変わります。本編では、昔の新聞へさかのぼる場面で、繰り返し出てきます。

捜査ファイル(事件の裏側)

本編で語りきれなかった、裏取りの記録です。

FILE 1事件の系譜

  • 1918 「注意すれば有益」=まだ死なない
  • 1927 「扇風機病」=確認できる最初の死の警告
  • 1935 最初の死亡「事例」の報道
  • 2006 消費者保護院が公式に警告
  • 2010 大法院が科学的な根拠を否定
  • 2011 それでも警察は「原因は扇風機」
  • 2013 MBCが実測=酸素に変化なし

本編で追った事件を、年表に残しておきます。1918年の記事は、まだ「注意すれば有益」。死ぬという話は、いま確認できる範囲では、1927年の「扇風機病」の記事が最初です。1935年には、最初の死亡事例の報道が現れます。2006年に政府機関が公式に警告し、2010年に大法院が科学的な根拠を否定。それでも翌2011年、警察はまだ、原因は扇風機、と言い、2013年、テレビの実験が、酸素は変わらないことを確かめました。怪談の100年は、この一枚に収まります。

FILE 2崩れた通説

  • 世界一有名な説明=「1970年代に政府が作った」
  • 大元の Snopes 原文=「我々は推測するしかない」
  • 1927年の記事の実在が「発明説」を崩す
  • ただし「政府が育てた」可能性は残る

世界でいちばん有名な説明は、1970年代に、政府が節電のために作った、というものでした。ところが、この説の大元の、ファクトチェックサイトSnopesの原文には、我々は推測するしかない、と書いてあります。つまり、一次資料はゼロ。そして、1927年の記事が実在する以上、1970年代に生まれた、は成り立ちません。ただし、注意がひとつ。1970年代の節電の時代に、政府やメディアが、もともとあった俗信を大きく育てた可能性は、まだ否定されていません。崩れたのは発明説で、増幅説は、これからの捜査です。

FILE 3数字と言葉の正確さ

  • 「20件」=届出の数(確認された死亡ではない)
  • 判決の科学的な言葉=医学の専門鑑定の採用
  • 「誰が・何を・どこまで」を分けて聞く

この事件は、言葉の正確さが決め手でした。よく引かれる、20件、は、消費者機関への届出が20件、という意味で、確認された死亡の数ではありません。2010年の判決の、扇風機は酸素を減らさない、という言葉も、裁判所が自分で調べたのではなく、医学の専門鑑定を、裁判所が採用したものです。誰が、何を、どこまで言ったのか。そこを分けて聞くことが、怪談を解く鍵でした。

FILE 4残る謎と、あなたへの依頼

  • 謎1 1970年代に政府が「育てた」証拠は未発見
  • 謎2 世界に広めた最初の一歩は未特定
  • 謎3 今どれだけ信じられているか=データなし
  • → 韓国の家族・友だちに聞いて、コメントへ

本編の最後の、3つの謎の補足です。1970年代に政府が怪談を育てたのか。発明説は崩れましたが、この増幅説は、まだ検証されていません。誰が世界に広めたのか。2000年代には英語の大きなニュースにもなりましたが、最初に広めた一歩は、特定されていません。そして、今の韓国でどれだけ信じられているのか。判決のあとは衰えた、とよく言われますが、それを裏づける調査データが、実は見つかっていません。韓国の家族や友だちがいたら、聞いてみてください。コメントで教えてもらえたら、それが次の捜査の手がかりになります。

本編のナレーションは当チャンネルが書き下ろした韓国語です。これは韓国語学習のための読み物で、 事実関係は一次資料・ファクトチェックに基づいて構成していますが、事実と異なる部分があり得ます。 誤りが見つかった場合は、このページと動画の概要欄で訂正します。出典一覧は動画の概要欄にあります。

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